油 彩
中川一政芸術の中心を為します。豊潤な色彩の「薔薇」、「向日葵」や豪快な姿が印象的な「箱根駒ケ岳」、アトリエからおりて15分のところある漁村「福浦」の風景など。処女作「酒倉」から絶筆「静物 薔薇」 まで当館では所蔵しています。
水墨岩彩
水墨画に岩絵の具で着色をしたものです。真鶴の海で獲れた魚介類や、 野花など、豊富な題材で油彩とは違った自由闊達な世界を繰り広げています。
書
書も中川一政芸術の重要な分野の一つです。自由闊達な画風や書で知られる八大山人や石濤、金冬心といった中国の画家の書や、日本や中国の名僧の墨蹟などを勉強し、その基本はふまえたうえでの一政の書です。 また日本や中国の古典文学にも素養が深く、それらの書物から、心に残った一節を書くことが多く、書かれた内容から一政自身の思想や哲学を垣間見ることができます。
挿 画
挿画の分野も、中川一政芸術において重要なものです。その仕事は戦前の一時期に集中しています。この時期に「人生劇場」、「石田三成」(いずれも尾崎士郎著)といった、一政が手がけた挿画の名作が生まれました。
素 描
中川一政にとって、素描とは対象と最短距離で間合いをはかるものであり、単純な本絵にとっての下絵いった関係のものではありません。そのため、素描といえども本絵と共通して力強さと動きが画面に表れています。
陶 芸
禅の精神世界と深く結びついていた茶道の美意識に共感を寄せていた一政は、自ら作陶して茶道具を数多く作っています。陶芸の世界にも、彼の絵画と共通した勢いや動きが表れています。
本の装丁とデザイン
中川一政は優れたデザイン感覚の持ち主でした。また文壇と交わりが深かったため、本装丁の仕事も多数手がけています。とりわけ、火野葦平著『麦と兵隊』、向田邦子著『あ・うん』の表紙は広く知られています。商品パッケージもデザインすることが多く、富山・ますのすしの弁当パッケージは最もよく知られたデザインです。
中川一政コレクション
中川一政画伯は優れた美術の収集家でもありました。生前、東洋や西洋の優れた美術品を収集し、それらは中川芸術の美の源泉ともなりました。これらの中川一政コレクションの名品の数々も当館には所蔵されています。